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荒れたW杯初戦 クリストフ・ビーグン(ポーランド)優勝

作成: 24.11.2013 23:37 / cy

合計約2万人ものファンが、クリンゲンタル(独)で華々しく開催されたワールドカップ開幕戦を観戦した。前日の土曜日にはドイツと日本を押さえ、スロベニアが団体戦の優勝を勝ち取ったが、今日のW杯個人初戦ではポーランドのクリストフ・ビーグンが優勝した。

開催時間が約3時間も延期、ファイナルは中止、そしてグレゴア・シュリレンツァウアーとアンダース・バルダルの自発的な棄権。スキージャンプ・ワールドカップ開幕戦クリンゲンタル大会は記憶すべき試合となった。最終的に、全く本命視されていなかったクリストフ・ビーグンが今季最初のW杯優勝を果たしたのさえ、ほとんど瑣末なことに思えるほどだ。


このポーランドの若手選手が試合開始直後に出した142.5mは、後続を寄せ付けぬリードとなり、集まった世界のエリートをものともしなかった。ただ、ドイツのアンドレアス・ヴェリンガー(132.0m)とスロベニアのユーリ・テペス(134.5m)が何とかついていき、2位・3位となった。

会場のフォクトランド・アリーナでは、既に朝から激しい突風が吹きすさび、踏切台地点で秒速11mの強風まで記録した。予定されていた開始時間の12:30に、ジュリーはトライアル開始を延期することにし、その後競技も13:30から15分毎に延期され、結局15:15まで延ばされた。やっと開始したと思った所で、早速ビーグンの飛翔が観客を沸かせた。

半分ほどの選手が飛んだ頃には、上昇気流が徐々におさまり、トーマス・モルゲンシュテルン(オーストリア)やドイツのアンドレアス・ヴァンクとセヴェリン・フロインドには勝ち目は無かった。アンドレアス・ヴェリンガー(独)とユーリ・テペス(スロベニア)は運を味方につけて良い方向に持っていけた。世界チャンピョンのカミル・ストッフ(ポーランド)が風の運をつかめず117.0mしか出せなかった後に、審判は再び試合の中断を決めた。

その時点で、アンダース・バルダル(ノルウェー)とグレゴア・シュリレンツァウアー(オーストリア)のジャンプを残すのみだった。その数分後には、両者が自発的にジャンプを棄権することが分かり、一同を驚かせた。不安な数分の後、1本目だけで採点が行われ、ファイナルラウンドは行われないことがはっきりした。

勝者のビーグンにとってはそれも関係なく、「全く勝てるなんて思っていませんでした。とっても嬉しいです。今日はかなり難しかったですが、良く跳べました。」と語る。2位についたアンドレアス・ヴェリンガーも「ジャンプはうまくいったし、この結果は嬉しいです。この試合は絶対フェアとは言えなかったでしょうが、結果は結果ですから。」と好調な新シーズンの滑り出しを喜んだ。バルダルとシュリレンツァウアーの棄権については、「自分だったら多分、審判の判断かトレーナーのアナウンスを待ったと思います。でも各自が決めることですから。」と語った。ユーリ・テペスも「条件は厳しかった。それでも勿論、結果が出せて嬉しい。審判の判断についてはコメントは控えたい」と述べた。

国際スキー連盟FISはこの混乱にプロトコルを発表した。「ファーストラウンド最後のアンダース・バルダル(ノルウェー)とグレゴア・シュリレンツァウアー(オーストリア)の二選手のスタート前に、長い風待ちのブレイクがあった。その風がおさまった時に二選手は棄権を決めた。その後、その二選手抜きでファーストラウンドの採点が行われた。ミラン・テペシュが検分し、風の条件はスタートができる状態だったと確認している。スタートを棄権したアンダース・バルダルのコーチ、アレックス・シュトックルは審判に問題が無かったことを確認している。オーストリア・チームは1本目の採点後、異議を申し立てたが、ジュリーの審査の結果、否認された。」

今季W杯の最初の週末が、スポーツ上どれだけ実質価値があったかは、これから週を追って明らかになるだろう。
 
この先、オーストリアとノルウェーが精進していかなくてはだということははっきりしている。競技の中断を抜きにしても、それぞれファーストラウンドの結果が最高のコンディションを得ているとは言い難い。そもそも、トップ・ジャンパーであるアンダース・バルダルとグレゴア・シュリレンツァウアーが、団体戦で期待に沿えなかったのだ。オーストリア勢としては、アンドレアス・コフラーがクリンゲンタルでの転倒から早く回復してくれることを祈るばかりだ。通称「コフィ」は、着地時にバランスを崩し、背中と肩を囲いに打ち付けた。応急検査の結果、チーム医は「ただの」肋骨の打撲とみている。ノルウェー勢は、最高順位が個人戦の13位オレマリウス・イングバルドセンだけで、その他はトップ25にも入らなかった。
 
スロベニアとドイツは、団体・個人戦共に表彰台に乗り、絶好調だ。ポーランドは、団体戦では惜しくも表彰台に届かなかったが、個人戦ではビーグンがW杯初戦勝者になり、埋め合わせた。日本勢は団体戦で3位に付き、個人戦でも健闘した竹内択の4位で期待に応え、他の渡瀬、葛西、清水の3人もトップ30に入った。
 
小さなスイス・チームも予想以上の成果を出した。団体戦ファイナルは僅差で逃したものの、個人でシモン・アマンが7位に入り、グレゴア・デシュヴァンデンは10位でW杯自己ベスト結果を出した。チェコ陣は、ヤン・マトゥラが32位でファイナルを達成できなかったかたわら、元勝者ヤコブ・ヤンダが堅実に12位に入った。
 
土曜の団体戦で出端をくじいたロシアだが、ディミトリ・ヴァシリエフがオーストリアのヴォルフガング・ロイツルと同点で18位に入り、オリンピック開催国の体面を保った。フィンランドは16位についたヤンネ・アホネンと20位のヤンネ・ハッポネンの健闘で、まずまずのシーズンスタートとなった。フランスとイタリアは決定的な役割はまだ果たしていない。

 

W杯クリンゲンタル大会 個人戦・結果(PDF)

 

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