01 | Hoerl, J. | 285.3 | ||
02 | Paschke, P. | 277.8 | ||
03 | Tschofenig, D. | 273.8 | ||
04 | Kraft, S. | 273.1 | ||
05 | Deschwanden, G. | 259.7 | ||
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スキージャンプ女子ワールドカップ2015/16シーズンは既に歴史となった。偉大なる勝者は「高梨沙羅」だ。日本の高梨(19歳)は2013年と2014年に続き3度目のワールドカップ総合優勝を果たし、1年の間を開けてオーストリアのダニエラ・イラシュコ=シュトルツから王座を取り戻した。
先週末、ワールドカップ(W杯)男子のシーズン・ファイナルが行われたプラニツァで、高梨は優勝のクリスタルトロフィーを授与された。
FIS(国際スキー連盟)レースディレクターの吉田千賀は、スキージャンプ女子全体も勝利したと感じている。 2012年から女子ジャンプの運勢を操っている吉田千賀(45歳)は、「私たちはたくさんのハイライトを経験することができた」と話す。
終始独走の高梨
高梨はリレハンメル(ノルウェー)での開幕戦から終始独走勝利の第1歩を踏み出していた。
それに続き、ニジニ=タギル(露)での優勝、札幌と蔵王での完璧だった日本大会の4勝、そして1週間のうちにオーバーストドルフ(独)、オスロ(ノルウェー)、ヒンツェンバッハ(オーストリア)で5勝を挙げた。10連勝の後にやっと、マヤ・ヴティッチがリュブノ戦で地元スロベニアの観客を前に、高梨を負かすことができた。しかもそれは、約7千人という記録的入場者の前でだった。翌日のリュブノ第2戦では、高梨は表彰台入りさえ逃し、ダニエラ・イラシュコ=シュトルツが表彰台の一番上に上がるのを端で見ていなくてはならなかった。しかし、それは今シーズンでたった1度だけのことだった。
ラハティで世界選手権のゲネプロ
来季行われる世界選手権のゲネプロとなったラハティ戦(フィンランド)では、高梨は再び最上段に上がり、W杯初参加となったアルマトイ戦(カザフスタン)での2勝で、最終的に今シーズンを締めくくった。19歳の高梨は、全17試合のうち14勝を挙げ、2013/14シーズンに立てた自己最高成績に1勝足らないだけだった。しかしそれも、ルーマニアのルシュノフで予定されていたW杯女子の最終大会が、初夏の陽気で中止を余儀なくされたからだけ、と言えるだろう。
高梨の圧倒的な強さに疑問を挟む余地さえない。それでも、これまでで最高に面白い女子ジャンプW杯シーズンだったと言えるだろう。それはとりわけ、高梨の次の席を争う戦いによるものだった。5ヶ国の10人の他の選手が表彰台に上がることができた。
強豪、オーストリア女子
オーストリアからはダニエラ・イラシュコ=シュトルツ、エヴァ・ピンケルニッヒ、キャラ・ホルツル、ジャックリーン・ザイフリーツベルガーがその中に入っており、日本の伊藤有希、ノルウェーのマーレン・ルンドビー、ロシアのイリーナ・アヴァクモヴァも表彰台に上がった。しかし、一番際立った発展を見せたのはスロベニア女子だっただろう。マヤ・ヴティッチがW杯初優勝を飾り、エマ・クリネッチ、スペラ・ロゲリは表彰台入りを喜んだ。そのご褒美に国別対抗でオーストリアと日本に続く総合3位となった。
スポーツの世界では、勝者がいれば常に敗者もいる。ドイツチームは、この冬の敗者の一人に数えられるだろう。オリンピック金メダリストのカリーナ・フォクトをはじめとするドイツ勢は、最後は国別対抗の4位に甘んじなくてはならなかった。
インタビュー:FISレースディレクター、吉田千賀
Berkutschi(当サイト、ベルクッチ):終幕した今シーズンを振り返るとどうですか?
吉田千賀:スキージャンプ女子の更なる進展を目の当たりにすることができました。高梨沙羅が圧倒的な優勢を見せていましたが、表彰台入りを巡る争いがスリリングで面白いところでした。信じられない程多くの若い選手達、が今の時点ですでに最高のレベルのジャンプを見せているという事実が、この素晴らしいスポーツの将来性を約束していると言えるでしょう。
ニジニ・タギルでは、ロシアの地で2度目のW杯女子大会を開催することができました。私が思いそして願うのは、特にロシアにおける将来の見通しが明るいということです。ロシアチームもとても強いですから。アルマトイでも初めてのW杯がものすごく高いレベルで行われました。日本大会ではようやく天気にも恵まれました。1ラウンドしかできなかった蔵王の第1戦を除いては、天候条件はほとんど完璧と言えるほどでした。ヒンツェンバッハは難しい条件でしたが、その中でも素晴らしい2試合を行うことができました。
Berkutschi:あなたにとってのハイライトは何でしたか?
吉田:特定の瞬間を一つ挙げるのは難しいです。蔵王では一つのジャンプ台が女子のために改修されて大きくなりました。新しく整備された投光照明のおかげで、午後の遅い時間にも競技することができるようになって、そのおかげでヨーロッパの朝食の時間にライブで観戦することができました。それは素晴らしいことです。オーバーストドルフではドイツのテレビ局とスキー連盟のおかげで、優れたテレビ放映ができました。細かい数字はまだ出てきていませんが、私たちの競技をとても多くのお茶の間で観てもらうことができたと思います。リュブノ大会では、7千人という記録的観客動員数で、素晴らしい雰囲気を体験することができました。それは特に選手達にとって本当に素晴らしい経験でした。スポーツ的観点からのハイライトは、女子のスキーフライングとも言える、オスロのホルメンコーレン・ジャンプ台での試合がありました。本当に素晴らしいシーズンでした。
Berkutschi:今季最終のルシュノフ大会が残念ながら中止となりました。それはどの位の痛手でしたか?
吉田:それが今シーズン唯一の苦い経験でした。ルシュノフのスポーツ好きの仲間達はやれることは全てやってくれたというのは分かっています。予定された最終大会のわずか1週間前に、当地でノルディックスキージュニア世界選手権が18度にもなる気温の中、行われました。これはすごいことです。でも、その後は残念ながら雪を維持できませんでした。幸運なことに、この時点ですでに個人総合成績は決まっていました。
Berkutschi:高梨沙羅の圧倒的な強さをどうみていますか?
吉田:17試合中14勝というのは素晴らしい成績です。今、高梨沙羅は他の選手を鼓舞する基準になっていて、それが良いモチベーションにもなっています。次のシーズンで、高梨がもっと負かされる立場になるのか、今の時点で判断するのは不可能です。その評価は競技の場だけで行われるべきだと思います。でも、更に多くのライバルが出てきて接戦になることは確信しているので、少なくとも彼女にとってもっと簡単になるということは無いと思います。
Berkutschi:この圧倒的な強さはスキージャンプ女子にとって問題になりますか?
吉田:いいえ、それは無いとはっきり言えます。まず、今シーズン中だけではなく、世界選手権やオリンピックで、高梨沙羅が負け知らずではないということを見てきました。いつの時代でも、各種目である時期に圧倒的な強さを見せて新記録を立てる素晴らしい選手というのはいました。男子で言えば、今季のペーター・プレウツ(スロベニア)がとても似ている状況でしたが、それが問題だとは誰も主張しないですよね。
Berkutschi:次のシーズンでは何が楽しみですか?
吉田:大会の予定表はまだはっきりとは決まっていないので、詳細についてはもう少し待たなくてはなりません。確実に決まっているのは、ラハティでの世界選手権です。ゲネプロとなった今シーズンの試合はとても良かったので、次の冬のハイライトに当然なると思います。平昌では2年後の冬季五輪のテストとして、韓国で初めてのW杯を体験することになります。それに加え、リュブノなどの伝統的なW杯開催地での試合もあります。
Berkutschi:シーズンが終了した今、少しゆっくりできますか?
吉田:まずは今シーズンの分析をしなくてはで、その他にも大会開催地への視察の予定がいくつか入っています。それでも、その後に休める時間も少しはあると思います。