01 | Tschofenig, D. | 274.8 | ||
02 | Hoerl, J. | 269.7 | ||
03 | Kraft, S. | 268.0 | ||
04 | Forfang, J. | 264.9 | ||
05 | Deschwanden, G. | 264.4 | ||
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ワールドカップ(W杯)男子ヴィケルスン大会(ノルウェー)で3月19日(日)、スキーフライング個人戦が開催され、ポーランドのカミル・シュトッホが優勝した。劇的な展開となったこの試合で、シュトッホは238.5mと237m(計466.6ポイント)で、日本の葛西紀明(239.5m・241.5m/計448 ポイント)を2位、オーストリアのミヒャエル・ハイボック(241.5m・222.5m/計430.4ポイント)を3位に抑え勝利を決めた。シュトッホにとってこれでW杯通算22勝目となり、スキーフライング戦では2勝目だった。観客はRAW AIR総合優勝をかけたドラマチックな闘いを目の当たりにした。最終的には、第1回RAW AIR総合優勝はオーストリアのシュテファン・クラフトが手にした。アメリカのケヴィン・ビックナーが大転倒したものの、大事には至らなかった。
シュトッホは勝利を決めた後に、「今日は僕にとって素晴らしい成功となった。スキーフライングは、スキージャンプよりスピードが速くて、小さなミスでも普通のジャンプよりかなり大きく影響しててしまうからいつも難しい。特に今日みたいに難しい条件でとなると本当に大変。RAW AIRはとても良いイベントで、すごく気に入った。文句のつけようが無かった。全てがうまくいったし、どの試合もすごく高レベルだった。このツアーに参加させてもらうことができて光栄だった。来年はもっと良く準備できるようにしたいと思っている。アンドレアス(ヴェリンガー)が優勝できなくて可哀想に思う。彼は一番安定していたジャンパーで、全期間を通じてたった1回しかミスをおかさなかった。そしてそのミスを今日の最後のジャンプでしてしまった」と話した。
まるで異星人のような葛西紀明
今日のヴィケルスン・スキーフライングヒル(ヒルサイズ225)では難しい風の条件の中、数々の選手が苦難を強いられた。そんな中、ベテランの葛西紀明は紐にでも引っ張られるように239.5mと241.5mまで飛距離を伸ばした。今日の2位入賞は44歳の葛西にとって、通算62回目の表彰台入りとなった。
葛西は感激の様子で、「素晴らしくて、信じられない。とにかくスキーフライングが好き。今日の天候条件は難しかったけど、こういう日に必要とされる、ちょとした運に恵まれた。今は来週末のプラニッツァ戦(スロベニア)を楽しみにしているし、そこで優勝したい。その後は平昌(ピョンチャン)五輪で金メダルを獲るのが僕の次の目標。オリンピックの金メダルはまだ獲っていないからね」と、いつもながら野心的な今後の目標をかかげた。
オーストリア勢トップのハイボック
ミヒャエル・ハイボックは3位に入り、RAW AIR期間中ずっとクラフトがオーストリア勢のトップだった中、初めてその座を譲り受け、「僕にとってものすごい日になった。ここ数日は思うように行かず、特にトロンハイム戦の26位は厳しかった。スキーフライングはまた別物で、幸いにもジャンプごとに良くなってくれた。僕にとってスキーフライング戦での初めての表彰台入りを今日果たせて、すごく嬉しい。条件は良かった。向かい風はスキーフライングではいつもとても良いもの。もちろん変わりやすい条件でもあって、自分自身に集中しなくてはだったけど、今日は危ないことは無かった。RAW AIRの10日間はとても劇的だった。来年もこのシリーズが行なわれることを祈っている」と語った。
ビックナーの転倒でヒヤリ
今日、「時の人」となったのはアメリカのケヴィン・ビックナーだった。まずビックナーはトライアルラウンドで233.5mの素晴らしい飛翔を見せた後、ファーストラウンドで244.5mの自己最高、そしてアメリカ史上最高記録を出して観客を沸かせた。ファイナルラウンドでもビックナーは234.5mまで伸ばしたものの、着地の後に大転倒した。ビックナーはアウトランで数分に及ぶ処置を受けた後、救急車で運ばれた。しかし、夜には少しよろけながらもチームメイトと一緒に夕食に向かう姿を見せ、緊張は解かれた。ビックナーは、「大丈夫。アザはできたけどそれ以外はなんとも無かった」と笑いながら話した。
ヴェリンガー、最後の最後で潰えたRAW AIRの夢
実際のところ、全てがアンドレアス・ヴェリンガーのために整えられていた。ヴェリンガーは1回目で夢のような242mの飛翔を見せて首位につけていた。そして10日前のRAW AIRトーナメント初戦となったオスロの試合からずっとヴェリンガーと総合優勝を競っていたシュテファン・クラフトが、ファイナルラウンドでミスをして既に215mの地点で着地してしまった。ヴェリンガーは、巨大なヴィケルスンバッケンで、あとはもう手堅い1本を収めるだけで良かったのだ。
しかしその後にドラマが起こった。ヴェリンガーは難しい条件に当たり、ジャンプもうまく行かず166mで地に着き、打ちのめされた。今日の結果は18位、RAW AIR総合は3位となった。ヴェリンガーにとって最高記録の個人タイトルとなるはずだったRAW AIR総合優勝を正に目前にしていたのにも関わらず、である。
ヴェリンガーは相当気落ちし、話しかけられない程で、ひどく不機嫌だった。コーチやチームの仲間がなぐさめて少し持ち直したものの、深く落ち込んだ様子で座っていた。
最終的にヴェリンガーは総合3位となった。
ドイツのヘッドコーチ、ヴェルナー・シュスターは、「アンドレアス・ヴェリンガーのジャンプの時、ジュリーの判断は最善とは言えなかったと思う。ああじゃなかったら、もっと上手くいっていたはず」とジュリーへの不満を見せた。「私の視点からは、ゲートを下げる理由が見当たらなかった。もしそうなら、最終ジャンパーなんだからもっと時間を取ってしかるべきだった。この様な終わり方となったのは腹立たしいし、つらい。アンディ(ヴェリンガー)はこのツアーで素晴らしい成績を示した」と話した。
ポーランドのカミル・シュトッホは、今日優勝を挙げたことにより、言わばラストスパートで総合2位まで追い上げた。
最終的に、第1回「RAW AIR」トーナメントの輝かしく、そしてそれにふさわしい勝者となったのはオーストリアのシュテファン・クラフトだった。クラフトは、RAW AIRの大きな皿形トロフィーと60,000ユーロの賞金をノルウェー首相、エルナ・ソルベルグから贈られた。
クラフトは、「2回目のジャンプでは賭けに出すぎて、飛距離を少しでも伸ばすのに苦戦した。200mを超えられるように全力を尽くした。そうしたら、アンドレアス(ヴェリンガー)も上手くいかなくて、難しい条件にも当たっていた。スキーフライングでは何が起こるか分からないこと、そして最後の瞬間まで集中を切らしてはいけないということを見せつけられた。RAW AIR最初の総合優勝を挙げることができて本当に嬉しい。RAW AIRはとても良く組織されていて素晴らしいイベントだった」と話した。
地元ノルウェーのヨハン=アンドレ・フォアファングは、2回目で今日の最長不倒245.5mを出し、個人戦4位につけて、ノルウェー勢のトップだった。ハイボックにわずか2点以下の差でフォアファングは今日の表彰台入りを逃した。RAW AIR総合でノルウェー勢トップだったアンダース・スティエルネンも、今日の個人戦は9位で、総合では4位に終わった。
スロベニア勢は、数日後にシーズンファイナルが自国プラニツァで開催されるのを前に、世界最大のフライングヒルではいつも活躍することを見せつけた。ペーター・プレウツ、ユーリ・テペシュ、そしてドーメン・プレウツが6〜8位を占め、次の課題への準備も万端というところだ。
ケヴィン・ビックナーは、転倒したにも関わらず15位でW杯自己最高記録を収めた。シモン・アマン(スイス)も、239.5mと230mのジャンプで16位に入り好調だった。
イタリアの若手、アレックス・インサムは25位で、自己初のW杯ポイント加算を喜んだ。
未来のある「RAW AIR」
今回初めて行なわれたノルウェーツアー「RAW AIR」だったが、選手、コーチ陣、そして公的な立場からも、この上なくポジティブな評価を得た。このシリーズは将来への大きな可能性を持っている。
スキージャンプW杯は、来週末(3月24〜26日)にスロベニア、プラニツァで行なわれるシーズンファイナルで今季が締めくくられる。個人戦2試合と団体戦1試合の、スキーフライング計3試合が開催される予定だ。
W杯総合では、まだポーランのカミル・シュトッホとオーストリアのシュテファン・クラフトが総合優勝をかけて闘っている。今のところ、首位のクラフトがシュトッホに31点の差をつけている。
※注)大会日程は現地時間です。