01 | Hoerl, J. | 285.3 | ||
02 | Paschke, P. | 277.8 | ||
03 | Tschofenig, D. | 273.8 | ||
04 | Kraft, S. | 273.1 | ||
05 | Deschwanden, G. | 259.7 | ||
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第69回スキージャンプ週間が目前に迫っている。始まる前からこれ程ドキドキするジャンプ週間がこれまでにあっただろうか。5連勝の快進撃を見せているノルウェーのハルヴォア=エグナー・グラネルドは、更に勝ち続けるのか?マルクス・アイゼンビッヒラーは今季初のホームゲームで、今の実力を発揮できるのか? 新型コロナウィルスに感染したカール・ガイガー(ドイツ)の復帰は間に合うのか?ポーランドのカミル・ストッフは、エンゲルベルク大会で見せた強さのままで来るのか?
スキージャンプは、次の試合で誰が勝つかを予測するのがものすごく難しいため、スポーツ賭博には向かないスポーツだ。
現在連勝を伸ばしているノルウェーのハルヴォア=エグナー・グラネルドのようなこと時々あるが、例外と言っていいだろう。
グラネルドは、ほとんど何もないところから、いきなり連勝しはじめた。24歳の好青年グラネルドは、なぜ今こんなに絶好調なのか自分自身でも説明できない様子だ。5連勝を決めた後にグラネルドは、「特別良いジャンプができているわけではない。安定して良いジャンプではあるけど、並外れて良いというわけでもない」と、話した。
専門家が言うところの「波に乗って飛んでいる」状態で、とにかく上手くいっており、全てが簡単にしっくりいって、それでいてそれがどうしてなのか、いつまで続くのか誰にも分からないのだ。
日本の小林陵侑にも2年前に同じような時期があった。
スロベニアのドーメン・プレウツもまだ無名だった2016年に、いきなり4勝を挙げてワールドカップ総合首位として、優勝最有力候補としてジャンプ週間に臨んだ。しかし、ドーメン・プレウツの波はジャンプ週間開幕戦で突然消えた。オーバーストドルフで26位となり、ジャンプ週間総合優勝の夢は儚く散った。最終的にはそれでもジャンプ週間総合9位と健闘の結果を残したが、ジャンプ週間には独特の流れがあるのだ。
今のところグラネルドはプレッシャーを全く感じていないようで、ものすごく安定していたからこその5連勝とも言えるが、ただ飛んだら5連勝していたようにも見える。これまでは家族や友達のいるところでこの成功について振り返って考える時間もなかった。そして今、ジャンプ週間が始まるあたって気になるのは、グラネルドがこの状況で出てくるプレッシャーに耐えられるかどうかだ。もし耐えられるのであれば、彼を打ち負かすのは相当むずかしいだろう。
2016年のドーメン・プレウツにはできなかった。2018/19の小林陵侑は悠々とやってみせた。小林陵侑は同じようなポジションから、ジャンプ週間の4試合全てで優勝した。波が彼を勝利から勝利へと運び、シーズンの最後には13勝を挙げ、ワールドカップ総合優勝も果たした。
攻めのアイゼンビッヒラー
決定的に大事なのはいつもオーバーストドルフでの開幕戦だ。そしてマルクス・アイゼンビッヒラー(ドイツ)は、グラネルドの一番のライバルだ。
もしアイゼンビッヒラーがオーバーストドルフでグラネルドを負かすことができれば、今度はアイゼンビッヒラーにプレッシャーがかかることになり、またこの冬の新しい流れが生まれる。アイゼンビッヒラーは自分の好成績を一番のモチベーションにして攻めてくるはずだ。
アイゼンビッヒラーのエンゲルベルク第2戦(12月20日、日曜)2本目のジャンプは本当に素晴らしかった。ジャンプ週間のゲネプロとも言えるエンゲルベルク戦で、これ以上無いという感触を掴んで次にうまく臨めるだろう。
カール・ガイガーは間に合うか?
スキーフライング世界選手権王者と、プライベートでは父親になったばかりのカール・ガイガー(ドイツ)にとっては、まずは健康かどうかが問題になってくる。ガイガーはエンゲルベルク大会が始まる前に、新型コロナ陽性の検査結果を受けていた。本人によると無症状なようで、地元オーバーストドルフでのジャンプ週間に参戦したい意向だ。新型コロナの場合、数日で普通に戻るインフルエンザとは違うため、もしガイガーがオーバーストドルフ戦に参戦できるのであれば、成績に関係なく参加できること自体が成功と言って良いだろう。
注目の優勝候補: カミル・ストッフ
もう一人、優勝を強く期待されているのはポーランドのカミル・ストッフだ。オリンピック金メダル3冠のストッフは、既に2回ジャンプ週間で優勝している(2016/2017年と2017/2018年)。33歳のストッフは豊富な経験を持っているし、このジャンプ週間に合わせて調整してきている。先週末のエンゲルベルク大会での成績(2位と7位)がそれを物語っている。
他にジャンプ週間で優勝候補をあげるなら、 佐藤幸椰(日本)とピオトル・ジーワ(ポーランド)だ。
超クールで小柄な佐藤幸椰は、あとほんの少しで抜きん出てきそうな勢いだ。佐藤が理想的な飛行ポジションをみつけたら、上位に、それも最上位に上がってくるはずだ。
日本に帰国するのは複雑な手続きが必要なため、今週、佐藤は日本チームとオーバーストドルフでクリスマス返上でトレーニングに励む。それがもしかしたら佐藤にとって重要な利点となるかもしれない。
ポーランドのピオトル・ジーワも、同じように強く、同じように頂点に迫っている。33歳の人気者ジーワは、これまでにない程の好調さを見せており、波さえつかめば第69回ジャンプ週間の総合優勝も夢じゃない。
他にも強い選手はまだまだ沢山いるが、正直なところ、上に挙げた選手をこのジャンプ週間でうち負かせるとは現時点では思えない。
しかし、ジャンプ週間には独特の流れがあり、2013/14の トーマス・ディートハルト(オーストリア)のようなことも起こりうる。ノーマークだったディートハルトは、そのジャンプ週間の時だけに波に乗ることができ、総合優勝を果たした。そしてその後はさっぱりだった。