W杯トロンハイム大会 P.プレウツが優勝、葛西が3位
ペーター・プレウツ(スロベニア)がスキージャンプワールドカップ・トロンハイム大会(ノルウェー)で優勝し、総合優勝に向けて大きな一歩を進めた。
スキーフライング世界王者であるプレウツは、困難な風の条件下でも揺るがず、135.0mと132.0mを出し285.5ポイント獲得で、他の追随を許さなかった。
2位はシュテファン・クラフト(オーストリア)、3位は葛西紀明だった。
プレウツは試合後のインタビューで、「今日の試合は簡単とは言い難かった。運も多少必要だったと思う。僕にはそれが回ってきた。でも運だけじゃなく、ジャンプもかなり上手くいったと思う。自分のやり方が風に影響を受けにくいとは思わない。そう見えるだけかもしれない。総合優勝については、やっとシーズン後半に入ったばかりだから何とも言えない。とにかく辛抱強く続けてプラニツァでの最終戦まで自分の最善を尽くすだけ。(次に試合が行われる)ヴィケルスンで去年、第1戦で250mを出して英雄扱いされたのに、次の日には130mしか飛べなかった。おもしろくなりそう」と語った。
フライング戦に期待が高まるクラフト
シュテファン・クラフトは135.0mと131.5mのジャンプで強さを見せて、273.2ポイントをマークした。
クラフトは「ここのジャンプ台が大好きだし、いつも良いジャンプを飛ぶことができている。今は次のスキーフライング戦をものすごく楽しみにしている。スキーフライングは本当にクール。200mを越えるジャンプがたくさん出ると良い。自分としてはシーズン開幕当初から好調だと思っていたけれど、なかなか思うように結果が出せなかった。幸運なことに、ここにきてやっと良くなって、ジャンプも安定してきている」と話した。
新ヒルレコード樹立の葛西
葛西紀明はファイナルラウンドで、143.0mまで伸ばしヒルレコードを塗り替え、今日のハイライトを飾った。43歳の葛西は、1本目では、127.0mでまだ10位についていた。最終的に266.8ポイントを獲得し、今シーズン3度目の表彰台を祝った。
葛西は、「とても嬉しいし、満足している。1本目は風の条件が悪くて難しかった。2本目の着地を終えてから膝に少し痛みを感じる。それでもヴィケルスン大会を楽しみにしている。そこで3試合とも優勝したい」と話した。
ミヒャエル・ハイボック(オーストリア)は130.5mと134.0mで、葛西に10.4点の差をつけられはしたが、それでも納得の4位に入った。
前日の予選でトップだった伊東大貴は、125.5mと131.0mで計254.9ポイントを獲得し、今季自己最高の5位入賞を果たした。
ステカラ、自己最高成績
アンジェイ・ステカラ(ポーランド)は253.6点で、まだ浅いワールドカップ(W杯)参戦経歴の中で自己最高成績となる6位入賞を喜んだ。
地元ノルウェーのファンにとっては、数人が脱落して残念な結果となった。ノルウェー勢トップだったのはダニエル=アンドレ・タンデ(252.9点)で7位、ケネス・ガグネスがその0.7点差で8位に続いた。
伸び悩みのフロインド
ドイツチームは、アンドレアス・ヴァンクが健闘し250.9点でチームトップの9位入賞を遂げたが、昨季のW杯総合勝者であるセヴェリン・フロインドは、0.4点差で10位となった。
ノルウェーチームは上位争いからは外れたものの、ヨアヒム・ハウアーとアンダース・スティエルネンが11位と12位に入り、それでもかなり優秀なチーム成績を収めた。
これまでのところやられっぱなしのポーランドからは、ダヴィド・クバツキーが健闘の13位に入った。ヤン・マトゥラは14位でチェコ勢トップだった。ユーリ・テペシュ(スロベニア)がトップ15を締めくくった。
敗退のアマンとシュトッホ
シモン・アマン(スイス)は、元ジャンプ週間覇者のアンドレアス・コフラー(オーストリア)に続く25位、五輪金メダル2冠のカミル・シュトッホ(ポーランド)は28位に甘んじた。
ロマン・コウデルカ(チェコ)と世界記録保持者のアンダース・ファンネメル(ノルウェー)は、予想外にもファイナル進出を逃した。
ペーター・プレウツはこの試合でW杯15勝目を飾り、プリモジュ・ペテルカと並ぶスロベニア最多優勝記録を達成した。プレウツはW杯個人総合成績で1324点をマークしており、既に2位のセヴェリン・フロインドに443点差をつけている。ケネス・ガグネスが770点で3位に続いている。
今週末(2月12~14日)にはヴィケルスン(ノルウェー)のモンスタージャンプ台で個人戦3試合が行われる予定だ。