世界選手権男子LH戦:注目データ
世界選手権ラハティ大会(フィンランド)
男子ラージヒル戦の注目データを以下に集めた:
シュトッホはで偉大なジャンパー達に並べるか
> カミル・シュトッホ(ポーランド)は、2013年ヴァル・ディ・フィエンメ(伊)で行なわれた世界選手権ラージヒル戦で金メダルを獲得した。
> 世界選手権ラージヒル戦王者のタイトルを2回以上取ることができたスキージャンパーは、以下の4人だけである:ビルガー・ルード(ノルウェー、5回)、ヤコブ・トゥリン・タマス(ノルウェー、2回)、ヘルムート・レックナーゲル(独、2回)、マーティン・シュミット(独、2回)。
> シュトッホが今回金メダルを取ることができれば、ポーランド人ジャンパーとして初めて複数回ラージヒル戦王者のタイトルを獲得することになる。ヴォイチェフ・フォルトゥナ(1972年)とアダム・マリシュ(2003年)は、一度だけ優勝した。
> マリシュは、ポーランド人として唯一、一回の世界選手権で複数のメダルを獲得したジャンパーだ。2001年のラハティ大会で、マリシュはノーマルヒルで金メダル、ラージヒルで銀メダルを取った。
> シュトッホは、最近の冬季五輪ラージヒル戦王者でもある。2014年のソチ五輪で金メダルを獲得した。直前の五輪で金メダルを取り、その後の世界選手権でも王者となることができたジャンパーは、ヤコブ・トゥリン・タマス(ノルウェー、1926年)、ビルガー・ルード(ノルウェー、1935年と1937年)、ヘルムート・レックナーゲル(独、1962年)の3人だけだ。
> 同じ年にジャンプ週間総合優勝と世界選手権ラージヒル戦金メダルの両方を獲ったジャンパーは、ハンス=ゲオルグ・アッシェンバッハ(独、1974年)とヤンネ・アホネン(フィンランド、2005)の二人だけだ。
> アッシェンバッハとアホネンは、その当時、直前の五輪では優勝していない。
そのためシュトッホは、直前の五輪で金、ジャンプ週間総合優勝、そして世界選手権ラージヒルでも金メダルという史上初の快挙を達成することになるかもしれない。
> 世界選手権王者で、オリンピック金、ジャンプ週間総合優勝を同時に果たしたことがある唯一のジャンパーは、ヘルムート・レックナーゲルだ。彼は、当時世界選手権も兼ねていた1960年の五輪で金メダルを獲得しており、1961年のジャンプ週間で総合優勝した。
> シュトッホはラハティのワールドカップ(W杯)ラージヒル戦で2回表彰台入りを果している。2014年には優勝し、2013年は3位だった。
> シュトッホは、今度の試合が行なわれる時に29歳281日になっている。シュトッホが優勝すれば、ラージヒル戦で3番目に年長の世界王者となる。1930年グンナー・アンデルセン(ノルウェー)が39歳の時、2009年アンドレアス・キュッテル(スイス)は29歳308日で同タイトルを獲得した。
ドーメンはインゲブリグトセンの後を追えるか
> ドーメン・プレウツ(スロベニア)は、試合当日に17歳271日になっており、トミー・インゲブリグトセン(ノルウェー)に続く史上2番目に若い世界選手権ラージヒル王者となれるかもしれない。インゲブリグトセンは1995年のサンダーベイ大会の時に17歳222日で優勝した。
> 世界選手権ラージヒル戦で、スロベニアのスキージャンパーが金メダルを獲ったことはまだ一度もない。唯一のメダルは、ドーメンの兄、ペーター・プレウツが2013年のヴァル・ディ・フィエンメ大会(伊)で獲った銀メダルだけだ。1991年にスロベニア人のフランチ・ペテクがラージヒル戦で金メダルとなったが、当時はまだユーゴスラビアだった。
> 最近4回のW杯ラハティ・ラージヒル戦で、ペーター・プレウツは4位、6位、4位、5位になっている。
> ペーターとドーメンの間にはもう一人ジャンパーの兄弟がいる。次男のツェネ・プレウツだ。
今から60年以上前にも国際的なスキージャンプ界で圧倒的だった3兄弟がいた。ノルウェーのジークムンド、ビルガー、アスビョルン・ルードは世界選手権ラージヒル戦で、7タイトルとメダルを11個獲得した。
スランプから脱したいノルウェー
> ノルウェーは世界選手権ラージヒル戦で20回金メダルを取っている(他の国より最低12回多い)。しかし、ここ10回の世界選手権ラージヒル戦では金メダルを獲得していない。
> これは、ノルウェーが世界選手権ラージヒル戦で金メダルを取れなかった期間として、既に最長となっている。1968年から1982年の間でも、ノルウェーは世界選手権8大会連続で勝つことができなかった。
> 最後にノルウェーのスキージャンパーが世界選手権ラージヒル戦で金メダルを獲ったのは、1995年にトミー・インゲブリグトセンが17歳の時にサンダーベイ大会で優勝した時だ。当時、ダニエル=アンドレ・タンデは1歳だった。
> ノルウェーのジャンパーは、最近の世界選手権5大会のラージヒル戦のうち、4回銅メダルを獲っている。2007年にロアル・ヨケルソイ、2009年と2013年にアンダース・ヤコブセン、2015年にはルネ・ヴェルタが銅を獲得した。唯一の例外は、地元ノルウェー、オスロで2011年に行なわれた世界選手権だった。
> ノルウェーは、世界選手権ラージヒル戦で3大会連続銅メダルを取ることができた唯一の国である(1935〜1950年)。
上々のカムバックを果たしたいシュリレンツァウアー
> グレゴア・シュリレンツァウアー(オーストリア)は、1年間の欠場を経て、2017年1月にスキージャンプ界に復帰した。
> シュリレンツァウアーは、2011年にオスロで世界選手権ラージヒル戦の金メダルを獲得し、2015年のファールン大会(スウェーデン)では銀メダルを獲った。
> シュリレンツァウアーが次に勝てば、世界選手権ラージヒル戦で複数回金メダルを獲得する初めてのオーストリア人ジャンパーとなる。さらにこの種目で3個のメダルを獲得する初めてのオーストリア人ともなる。先輩のアンドレアス・ゴルドベルガーは世界選手権ラージヒル戦で2回メダルを獲った(1993年に銅、1995年に銀)。
> シュリレンツァウアーは2015年のファールン大会で銀メダルを獲って以来、W杯のラージヒル戦で一度も表彰台に上がっていない。
その他の注目要素
> セヴェリン・フロインド(独)は、前回2015年の世界選手権ラージヒル戦(ファールン)で王者になった。怪我のため欠場しているフロインドは、今回そのタイトルを防衛することができない。
> 最近で、世界選手権ラージヒル戦王者のタイトルを2大会連続で達成することができた国はスイスで、シモン・アマンが2007年に、アンドレアス・キュッテルが2009年に金メダルを獲った。
> ドイツのマーティン・シュミットは、1999年と2001年の2大会連続で世界選手権ラージヒル戦の金メダルを達成した。2回目の時はラハティ大会だった。そのため、シュミットは最後にラハティ大会で金メダルを獲ったジャンパーとなっている。
> 最近のW杯ラハティ大会ラージヒル戦で優勝したのは、2015年のシュテファン・クラフト(オーストリア)と、2016年のミヒャエル・ハイボック(オーストリア)だった。
> クラフトは、グレゴア・シュリレンツァウアーに続いて、ジャンプ週間総合優勝と世界選手権ラージヒル戦金メダルを達成する二人目のオーストリア人となれるかもしれない。
> 2月25日(土)に行なわれたノーマルヒル戦で金メダルを獲得したクラフトは、1回の大会中にノーマルヒルとラージヒルの両方で金メダルを獲る初めてのオーストリア人選手、そして史上5人目のジャンパーとなれるかもしれない。
これまでにそれを達成しているのは、1966年のビョルン・ヴィルコラ(ノルウェー)、1970年のガリイ・ナパルコフ(ソ連)、1974年のハンス=ゲオルク・アッシェンバッハ(独)、2003年のアダム・マリシュ(ポーランド)の4人である。
> クラフト、アンドレアス・ヴェリンガー(独)、マルクス・アイゼンビッヒラー(独)の3人は、今回の世界選手権で既にメダルを2個獲得している。
一大会中に3人のジャンパーが最低3個のメダルを獲得することができたのは、2001年(シュミット、マーティン・ホルヴァルト、ヤンネ・アホネン)と2011年(トーマス・モルゲンシュテルン、シュリレンツァウアー、アンドレアス・コフラー)の2大会だけだった。
> フィンランドのジャンパーは、地元ラハティで行なわれた世界選手権ラージヒル戦で3回金メダルを獲っており、他の国と比べて一番多い。
> 最後に世界選手権ラージヒル戦でメダルを獲得できたフィンランド人は、2007年に銀を獲ったハッリ・オッリである。
> シモン・アマンがもう一度勝てば、世界選手権ラージヒル戦で2回以上金メダルに輝く最初のスイス人となれる。既にアマンは、この種目でメダルを2個以上獲っている唯一のスイス人である。
> 葛西紀明(44歳)は、世界選手権ラージヒル戦のメダル獲得最年長記録を立てることができるかもしれない。1930年にグンナー・アンデルセン(ノルウェー)が39歳の時に優勝して、最年長記録を樹立した。
葛西は、2年前の混合団体戦で銅メダルを獲った時に42歳で、世界選手権メダル獲得最年長記録を既に作っている。
> 葛西は、世界選手権ラージヒル戦の表彰台に最後に上がった日本人ジャンパーとなっている。葛西は2003年に銅メダルを獲得した。
> これまでに、ロシアの代表選手が世界選手権ラージヒル戦でメダルを獲得したことは無い。最後にロシア生まれのスキージャンパーが表彰台に上がったのは、1970年に優勝したガリイ・ナパルコフ(ソ連)である。