シーズン開幕! ルカ大会:注目データ
次の週末は北極圏が熱くなりそうだ。それもかなり。
ワールドカップ(W杯)シーズンがフィンランド、ルカにて開幕されれば、誰もがスロベニアのペーター・プレウツ に注目するだろう。昨冬圧倒的な強さを見せたプレウツは、この冬も再び全てにおいて優勢を保てるかもしれない。その可能性はある。
本当にプレウツが優位を維持できるか、まだ誰にも分からない。しかし今度フィンランドで行われる開幕戦2試合を見れば、もっとはっきりしてくるだろう。それだからこそ、この2試合が特に注目に値するのだ。
我々はグレースノート(Grecenote)と国際スキー連盟(FIS)と共に注目データを分析してみた。そして今冬シーズン中にわたって同様の注目データを定期的に分析してW杯の各大会前に紹介していく予定だ。
スキージャンプ・ワールドカップシーズン2016/17
プレウツ、優位継続の気構え
> ペーター・プレウツは昨シーズン、他を寄せ付けない程の優勢を見せた。
> プレウツはW杯総合、スキーフライング・ワールドカップ、そしてスキージャンプ週間でも優勝した。
> プレウツはW杯個人戦で15勝を果たし、それをもってグレゴア・シュリレンツァウアー(オーストリア)が持っていた記録(2008/09シーズンに13勝)を破った。
> プレウツはW杯の試合で22回表彰台に上がり、それによりシュリレンツァウアーが保持していた個人戦表彰台20という記録(2008/09シーズン)を更新した。
> プレウツは、スキーフライング・ワールドカップで3シーズン連続優勝を果たした初めてのスキージャンパーとなった。
> プレウツは、ヤンネ・アホネン(フィンランド)が2004年と2005年に果たして以来、初めて2年連続で総合優勝を果たすジャンパーとなるかもしれない。
> アホネン以来、この11シーズンにわたって2年連続でW 杯総合優勝を果たしたスキージャンパーは皆無だった。
> 1994/95と2004/05の間の11シーズンでは、W杯総合優勝者は常に少なくとも2年連続優勝を果たしていた:アンドレアス・ゴルトベルガー(オーストリア、1995、 1996)、プリモジュ・ペテルカ(スロベニア、1997、1998)、マーティン・シュミット(独、1999、2000)、マダム・マリシュ(ポーランド、2001〜2003)、ヤンネ・アホネン(フィンランド、2004、2005)
> ここ最近の7シーズンでは、それぞれ違う7人のジャンパーがW杯総合優勝を挙げている。
もう一度W杯総合優勝を狙うフロインド
> セヴェリン・フロインド(独)は2014/15シーズンでW杯総合優勝、昨シーズンは総合2位だった。
> フロインドは、1999年と2000年にマーティン・シュミットが果たして以来、2番目のドイツ人として当タイトルを2度勝ち取ることができるかもしれない。
> マッチ・ニッカネン(フィンランド)はタイトル保持者として2位になった後、次の年にW杯総合優勝を果たした唯一のジャンパーだ。
> ニッカネンは1982/83にW杯総合優勝を遂げ、1984/85には総合2位、そして1985/86には再び総合優勝を勝ち取った。
> フロインドは2013/14に3位となり、初めてのW杯総合の表彰台に立った。
フロインドはアンドレアス・ゴルトベルガーが1993から1996年にかけて果たして以来、初めて4回連続でW杯総合トップ3でシーズンを締めくくることができるかもしれない。
更に上を目指すプレウツとフロインド
> ペーター・プレウツとセヴェリン・フロインドは二人ともこれまでにW杯21勝を祝っており、W杯史上10位についている。
> シモン・アマン(スイス)とトーマス・モルゲンシュテルン(オーストリア)は23勝で同点の8位となっている。
> アマンは、7位のアンドレアス・フェルダー(オーストリア)にあと2勝足りない。
> セヴェリン・フロインドは2014年に5勝、2015年に11勝して以来、2016年に入ってからは1勝も挙げていない。
> フロインドが一度もW杯の試合で優勝できなかった最後の年は2010年だった。
> フロインドが最後に優勝したのは、2015年12月29日のスキージャンプ週間オーバストドルフ戦だった。
葛西とアマンも若手に混じり参戦
> 葛西紀明(44歳)とシモン・アマン(35歳)は今も現役でW杯に参戦している。
> 葛西は1988年12月17日に16歳で、地元札幌の観衆を前にW杯デビューを果たした。
> 葛西は1992年2月28日のフィンランド・ラハティ戦で3位となり、初めての表彰台入りを達成した。
> 葛西は1992年3月23日、チェコ・ハラコフでW杯初優勝を祝った。この試合は同時にスキーフライング世界選手権でもあった。
> 葛西はこれまでにW杯個人戦17勝を飾り、表彰台には61回上がっている(1位17回、2位12回、3位32回)。
> 葛西は2014年11月29日のルカ戦で、W杯最年長優勝記録(42歳176日)を樹立した。
> 葛西はW杯最年長表彰台記録も保持している。2016年3月4日に、ポーランド・ヴィスワ戦で43歳272日の時に3位になった。
> アマンはドイツ・オーバストドルフで1997年12月29日に16歳でW杯デビューを祝った。
> アマンは2002年3月17日にノルウエー・オスロでW杯初優勝を果たした。その1ヶ月前にはソルトレイクシティ冬季オリンピックで金メダル2冠に輝いた。
> アマンは2010年のオリンピックでも金メダルを2つ獲得した。アマンの金メダル4冠という成績は、オリンピック・スキージャンプでは最も優れた功績となっている(マッチ・ニッカネンは金メダル3冠)。
> 金メダル4冠のシモン・アマンは、1928年と1936年の間に体操で金メダル4冠を果たしたジョルジュ・ミーツと並んで、最も功績を挙げたスイス人となっている。
> アマンはこれまでにW杯23勝、表彰台には79回(1位23回、2位31回、3位25回)上がっており、W杯史上4位についている。
次も国別優勝を狙うノルウェー
> 昨シーズン、ノルウェーは2012/13以来2度目のネイションズカップを勝ち取った。
> ノルウェーがネーションズカップを取ったのはこれで7回目で、フィンランドと同数だ。18勝のオーストリアだけがこのタイトルをもっと多く獲得している。
> 2015/16の総合成績では、ノルウェーから4人の選手がトップ10に入った。5番目の選手は総合12位だった。
> ノルウェーチームは、昨シーズンの団体戦全6試合のうち、最後の2試合を含めた3試合で優勝した。
勝者の道に戻りたいオーストリア
> ここ数年前までオーストリアはスキージャンプで圧倒的な強さを誇る国だった。最近の2シーズンでオーストリアはW杯団体戦優勝を逃している。個人戦優勝数もここ6年でどんどん下がっている(15勝、14勝、12勝、5勝、5勝、4勝)。
> 昨シーズン、オーストリアはわずか4勝しか上げていない。ミヒャエル・ハイボックが3勝、シュテファン・クラフトが1勝した。
> それはここ10シーズンのうち、個人戦優勝の最低記録だった。2005/06シーズンはわずか2勝にとどまった。
> オーストリアは2008/09から2014/15の間、スキージャンプ週間でずっと総合優勝してきたが、昨シーズンは優勝を逃した。
> それに昨シーズンは2005/06以来、スキージャンプ週間中にオーストリア人が1勝も挙げられなかった初めての年でもあった。
------------------------------------------------------
ルカ大会
ルカ、W杯カレンダーの常連
> ルカでのW杯開催は今回で15回目となる(1996年、2002年〜今回)。ルカ大会で2試合が行われるのは7回目だ。昨シーズン11月27日と28日に予定されていた試合はキャンセルとなった。
> ルカの試合で地元フィンランドの選手が最後に優勝を飾ったのは2006/07アルットゥ・ラッピが勝った時だ。
> フィンランドのスキージャンパーはW杯個人戦で合計151勝を挙げており、オーストリアだけがそれを上回っている(238勝)。ここ5シーズンでは、W杯優勝を果たしたフィンランド人はラウリ・アシカイネンただ一人だ(2014年1月4日、インスブルック戦)
> 2年前のルカ戦ではシモン・アマンが両試合で優勝し、2日目の試合では葛西紀明と同点優勝だった。
> アマンはルカで3回優勝したことのある唯一のジャンパーだ。アンドレアス・コフラー(オーストリア)、ヤンネ・アホネン、プリモジュ・ペテルカの3人は当地で2勝を挙げた。
> アマン(2014/15)とアホネン(2004/05)だけが、一回の大会で2勝を果たした。
アマン、ルカでハットトリックのチャンス
> 2014年に2勝を挙げたアマンは、2014〜2015のオスロ大会でセヴェリン・フロインドが果たして以来初めて、同じ開催地でW杯3連勝を祝うことのできるジャンパーとなるかもしれない。
> アマンは2008年にも優勝しており、今回も優勝できれば、同一開催地で4勝以上を果たした6人のジャンパーの仲間入りができるかもしれない。グレゴア・シュリレンツァウアー(3開催地)、アホネン(2)、アダム・マリシュ(2)、マーティン・シュミット(1)、イェンス・ヴァイスフロック(独、1)、ロアル・ヨケルソイ(ノルウェー、1)。
> アマンはオスロ、エンゲルベルク、リレハンメルでそれぞれ個人戦3勝を挙げている。
> 2014年ルカでの優勝以来、アマンはW杯優勝を果たしていない。
> アマンは通算23勝(W杯ランキング8位)、表彰台には79回(1位23回、2位31回、3位25回)上がっておりW杯史上4位についている。
もう一度勝つために葛西は戻ってくる
> 葛西紀明は、ペテルカ、アホネン、コフラー、アマンに続き、ルカで2連勝を飾る5人目の選手となるかもしれない。
> 葛西(44歳)が勝てばルカで2勝目となる。葛西はこれまでヴィリンゲン(3勝)とガルミッシュ=パルテンキルヒェン(2勝)のラージヒルだけで2勝以上を果たしている。
> 葛西が2年前にルカで優勝した時には、1993年元旦にガルミッシュ=パルテンキルヒェンで初めてラージヒル戦で優勝してから約21年が経っていた。
> 葛西はこれまでW杯通算17勝、表彰台61回(スキーフライングを含む)を挙げている。
> 葛西が最初に表彰台に上がったのは、1992年2月、19歳でラハティのノーマルヒル戦で3位になった時だった。
> 表彰台数ランキングで、葛西は61回で9位となっており、ヨーロッパ選手以外ではトップだ。8位のアンドレアス・ゴルドベルガーは2つ多く表彰台を取っている。