女子ジャンプ「正しい方向に向かっている」
インタビューシリーズ「ベルックチ・トーク」では、スキージャンプの選手や公式関係者に話を伺っている。
今回は、FIS(国際スキー連盟)ワールドカップ女子のレースディレクター、吉田千賀にインタビューした。
Berkutschi(ベルクッチ):こんにちは。今シーズンの、ワールドカップ(W杯)女子は、これまでの所どうですか?
吉田千賀:とても満足しています。開幕戦のリレハンメル(ノルウェー)では、とても良い条件の中、おもしろい試合で今季をスタートさせることができました。特にリレハンメルのファイナルラウンドは、とてもスリリングで見応えがありました。12月の休みの後は日本での二大会が行われました。日本では女子ジャンプの長い伝統があります。天候条件は難しくて、特に蔵王は大変でした。それでも観客の皆さんの関心はとても高くて、素晴らしい雰囲気でした。天候不良で、本当に試合ができるのか誰にも分からない状況でさえ、です。それはとても良かったです。そして蔵王大会は本当に難しかった。でも最終的には2試合、行うことができて良かったです。蔵王大会では、日本のテレビ局が初めてのライブ放映を予定していました。これまで日本では女子ジャンプは一度もライブ中継されたことがなかったので、それはとても新しいことでした。
Berkutschi:今季これまでの4試合で、それぞれ違う4人の選手が優勝しています。W杯女子にとって、高梨沙羅に本気で対抗できる選手達がいるというのはどの位大事なことなのでしょうか?
吉田:どれ程重要かは分かりませんが、確かにそれが試合をもっと面白くする要素ではあると思います。我々にとって重要な尺度は、何ヶ国が参戦するかということです。今のところ、通常16ヶ国が試合に参加しています。そしてほとんどのチームに強い選手がいます。なるべく多くの国の選手がトップ10に入り、そして表彰台を達成してくれることが、私たちにとって大切なことなんです。今季は、最初の数試合が終わった時点で、3人の選手が同点でW杯個人総合成績トップ、という特別な状況でした。
Berkutschi:今シーズンの大会スケジュールでは、開幕戦のリレハンメル大会の後で長い休みとなってしまい、あまり良くなかったですが、スケジュール調整の点で今後は変えていくべきでしょうか?
吉田:この様になるとは思っていませんでした。昨シーズンでは、クリスマス前にW杯ヒンターツァーテン(独)大会がありました。今季はこのドイツの大会が1月にずれてしまった。ロシア、チャイコフスキーは昨シーズン初めてW杯参加で、大会を成功させましたが、今季は休むことになりました。この先この大会の日程も、再び考慮に入れることになります。大会スケジュールの調整は動的プロセスということで、常に変わっていくことになるでしょう。
Berkutschi:特に2011年にW杯が始まってからの女子スキージャンプの発展を全体的にどう見ていますか?
吉田:総合的に見て、特にトップ10の選手のレベル、そして試合のレベルは高まりました。組織的なマネージメントが上手くなってきているから、というのもあります。メディアの関心も高まっています。もちろん、オリンピックの正式種目になったことも大きいでしょう。
Berkutschi:ファールン(スウェーデン)で行われる予定の世界選手権ではどういった点が楽しみですか?
吉田:もちろん世界選手権は、今シーズンのハイライトです。個人戦だけではなく、男女混合団体戦もあります。これは女子にとって、大観衆の中でパフォーマンスできる素晴らしい機会です。
Berkutschi:女子ジャンプとして、次の平昌オリンピックまでに達成したい目標はありますか?もしかしたら、女子だけの団体戦も可能になってくるでしょうか?
吉田:それほど早くは実現しないと思います。世界選手権と同様に、オリンピックでも男女混合団体戦ができれば素晴らしいと思います。女子の団体戦ができるまでには、数々の小さなステップが必要です。現実的に考えていかなくてはでしょう。正しい方向には向かっていると思います。例えば、今年もオスロ(ノルウェー)にて、W杯トップ30で女子大会が行われます。このホルメンコーレンジャンプ台での試合も女子ジャンプにとって更なるハイライトとなります。一歩ずつですが進んで行っているので、不可能なことはありません。