ソチ五輪LH団体戦、ドイツがオーストリアから王座を奪った

作成: 17.02.2014 23:44 / cy

ソチ五輪、ラージヒル団体戦で、ドイツ・チームが優勝し、金メダルを獲得を決めた。アンドレアス・ヴァンク、マリヌス・クラウス、アンドレアス・ヴェリンガー、セヴェリン・フロインドの4人で挑んだドイツは、2006年トリノ五輪と2010年バンクーバー五輪で2大会連続金メダルを取ったオーストリアから王座を奪った。

オーストリア・チームは、ミヒャエル・ハイボック、トーマス・モルゲンシュテルン、トーマス・ディートハルト、グレゴア・シュリレンツァウアーというメンバーで参戦し、五輪でのスキージャンプ最終戦を銀メダルで飾った。オーストリアは団体戦6個目のメダルで新記録を立てた。

銅メダルは、清水礼留飛、伊東大貴、竹内択、葛西紀明からなる日本チームが獲得した。

 

ちなみに、今日の試合の個人成績トップ3は、ペーター・プレフツ(スロベニア)、カミル・シュトッホ(ポーランド)、アンダース・バルダル(ノルウェー)だったが、揃いも揃って彼らのチームは表彰台を逃した。

 

 

バルダルの滑り出し良好
1回目で、すでにオーストリア対ドイツの神経戦となる様相を呈していた。その後ろに、日本チームがほぼミス知らずの3位に着き、葛西紀明のラージヒル銀に続く2個目のメダルを狙ってきていた。

1回目で最初に快挙を遂げたのはアンダース・バルダル(ノルウェー)で、今日の最長飛距離となった137.5mを出した。ポーランド勢もマチェイ・コットが 131.5mで、132.5mを出した日本の清水礼留飛同様、快調な滑り出しとなった。スロベニアはユーリ・テペシュが133mを出して期待通りにスター トした。ドイツのアンドレアス・ヴァンク(独)が132m、ミヒャエル・ハイボック(オーストリア)も134mと堅実なジャンプを見せた。

 

ジーラの回でポーランド勢はランクダウン
2グループ目で、ピオトル・ジーラが121mしか飛べず、ポーランド勢は息を飲んだ。アンダース・ファンネメルは129.5m飛び、ノルウェー・チームはなんとか上位を保ったが、スロベニアは負傷のロベルト・クラニエツが120.5mしか伸ばせず、チームに致命的な刃こぼれとなりランクを落とした。それを尻目にドイツの若手、マリヌス・クラウスは136.5mを出し、コーチのヴェルナー・シュスターの信用に応えた。対するトーマス・モルゲンシュテルンは129mしか(!)出せなかった。日本勢は動じず、伊東大貴が130.5mの良いジャンプを見せた。3グループ目では、再びオーストリアが前に出た。今季のジャンプ週間覇者、トーマス・ディートハルトが136.0mの大ジャンプを出し、アンドレアス・ヴェリンガー(独)に3mの差をつけた。竹内択は 127mで多少の減点となったものの、アンデシュ・ヤコブセンはそれでも119mしか出せず太刀打ちできなかった。

 

 

ドイツを上位に導いたフロインド
ファーストラウンド最終グループでは、再びドイツが前に出た。セヴェリン・フロインドが131.5m飛んで、グレゴア・シュリレンツァウアーより3m伸ばし、僅差ながらドイツ首位でハーフタイムを終えた。葛西紀明は134mの正確なジャンプで3位を守った。金メダルW受賞のカミル・シュトッホは130.5mという結果に甘んじた。ルネ・ヴェルタ(ノルウェー)は125.5mという控えめな試みで、133.5mのペーター・プレフツには及びもしなかった。
その後に、ヤンネ・アホネン、アンシ・コイブランタ、オッリ・ムオトカ、ヤルコ・マエッテーのフィンランド・チームが続き、最低限の目標であるファイナル進出を決めた。同じくチェコも、ロマン・コウデルカ、ヤコブ・ヤンダ、アントニン・ハイエク、ヤーン・マトゥラの編成でファイナルに残った。

 

 

ロシア、ファイナルを逃す

それに対し、開催国ロシア、カナダ、アメリカ、韓国はファイナル進出を果たせなかった。

ファイナルラウンドでも、アンダース・バルダルは好調だったが、今回は133mにとどまった。総じてノルウェー・チームの格差はやはり大きすぎた。アンダース・ファンネメル(133m)とアンデシュ・ヤコブセン(130.5m)は続くルネ・ヴェルタ(125.5m)のジャンプの穴埋めをしきれず、チェコとフィンランドは抑えたものの、6位に着いた。ポーランドは健闘し、ピオトル・ジーラが132.5mのジャンプを見せた。マチェイ・コット(129m)、ヤン・ジョブ ロ(133m)、カミル・シュトッホ(135m)のチームは、2回目だけで見ると「首位」だったが、最終的には、ポーランド史上、五輪団体戦で最高順位である4位になった。

 

 

スロベニアとノルウェーを抑えたポーランド
少なくともポーランドは、有力視されていたスロベニアを抑えることができた。スロベニア・チームは、ロベルト・クラニエツの131mで持ち直し、ペーター・プレフツはまたもや136mの素晴らしいジャンプを見せた。イェルネイ・ダムヤンの堅実な130.5mと、少し期待はずれだったユーリ・テペシュの 126.5mでは、最終的に表彰台に届かなかった。

日本は堂々の銅メダルを持って帰ることになった。清水が131.5m、伊東が132m、竹内が130m、そして葛西が134m飛んだが、上位2位には追いつけなかった。
最初のアンドレアス・ヴァンク(128m)でミヒャエル・ハイボック(130m)に数メートル足りなかったものの、2グループ目のマリヌス・クラウス (134.5m)がトーマス・モルゲンシュテルン(133.5m)に対し0.3ポイント差まで追い詰めた。トーマス・ディートハルト(132.5m)との一騎打ちで、アンドレアス・ヴェリンガー(134.5m)がドイツ・チームを首位につけた。

 

 

最後の勝負は「シュレリー」対フロインド
グレゴア・シュリレンツァウアーはもう一度全力を尽くし132m飛んだ。セヴェリン・フロインドはそれでもブレなかった。2日前に同じ場所でメダルを逃したフロインドは131mのジャンプで今回は優勝を決めた。

最終的にドイツ・チームは1041.1ポイントとなり、2位のオーストリアに2.7ポイント差だった。日本チームは、1024,9ポイントで、4位のポーランドに13.1ポイントの差をつけた。その更に16.2点差だったのが5位のスロベニア、僅差で6位だったのは990.7ポイントのノルウェーだった。
ドイツのコーチ、ヴェルナー・シュスターは、1994年と2002以来の団体戦金メダル獲得について、「ドイツ・チーム全体を誇りに思う。私たちは数々の厳しい時期を乗り越えてきた。沢山の要素が集まって、この成功を飾ることができた。セヴェリンのジャンプは完璧ではなかったが、それでもやり切った。これが彼のキャリアの良い節目になるだろう」と、ARD(ドイツ公共放送)のインタビューに答えた。

グレゴア・シュリレンツァウアーは、オーストリア勢にとって多難だったオリンピックの最後に、やっと肯定的なコメントを出せた。「本当に嬉しい。もちろん 4、5点なんてちょっとの差で凄くギリギリだったから、おしかった。それでもメダルが取れれば嬉しいし、銀は素晴らしい結果。ここで僕達は問題を抱えていたし、僕自身も最高の調子とは言えなかった。難しい試合だった。」

 


失意のプレフツとシュトッホ
メダルを逃したペーター・プレフツは落胆を隠せない。「この気持ちを表現するのは難しい。悲しい結果だった。でもオリンピックはこれで終わりだし、気持ちを切り替えていきたい。」

カミル・シュトッホは、「今でもメダルを取れる可能性があったと思っている。特に、本当に良いジャンプは1回しか見せられなかった自分自身を責めている。ヤン・ジョブロ以外、僕らはみんな失敗してしまった。これが最後の試合で、一番記憶に残りやすい試合だったのに、残念。メダルは手が届くところにあったの に。」と、TVP(テレビ・ポーランド)のインタビューに答えた。

 

ソチ五輪LH団体戦:結果(PDF)