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W杯ヴァル・ディ・フィエンメ大会:注目データ

作成: 08.01.2019 17:09 / sk

伝説はもう消滅してしまった。スキージャンプ週間の全4試合で優勝する「グランドスラム」は、今でもスキージャンプとしてはもの凄く特別なことだが、昨季のカミル・シュトッホ(ポーランド)と今季の小林陵侑がその偉業を達成したため、伝説ではなくなった。

小林陵侑がフィンランド・ルカ戦で、初めてのワールドカップ(W杯)優勝を飾ったのは、たった6週間前の2018年11月24日だった。6週間のうちにW杯8勝を挙げた今、この若者は世紀のジャンパーになったと言っても良いだろう。これからのことはまだまだ分からないが、とにかくこの何週間かで小林陵侑が見せた活躍はまたとないものだった。専門家のコメントで、これだけ一人の選手への評価が一致したことはまれだ。スヴェン・ハンナヴァルト(独)に聞いたとしても、トーマス・モルゲンシュテルン(オーストリア)に聞いても、マーティン・シュミット(独、3人とも元・名選手)に聞いても出てくるコメントは一緒だ。ジャンプ台からこれだけのスピードで、これ程ダイナミックに、そして安定したジャンプを見せられるのは本当にすごい。

日本で元ジャンパーのヤンネ・バータイネン(フィンランド)に師事している小林陵侑だが、この冬に入ってから全てが順調にいっている。細かいことを言えば、昨夏からと言っても良い。2018年8月に小林は白馬大会で2勝を挙げて頭角を現していた。夏に定期的に行なわれるFIS(国際スキー連盟)グランプリが、今回も最初の兆候が捉えられた舞台だった。

22歳の小林陵侑が爆発的に良くなった理由は色々あるだろうが、最終的には数々の新しいことを全部合わせた結果、ダントツのハイフライアーができあがったのだろう。

昨シーズン終了後から日本のヘッドコーチには新しく宮平秀治が就任し、チームにこれまでと少し違う風がおきた。小林は他のライバル達より比較的重く、長目のスキー板を使用している。小林は精神的にも、もの凄く強い。周りの状況には全然影響されず、メディアからのプレッシャーもどこ吹く風で、勝利から勝利へと飛んできた。素晴らしい!

最近の小林陵侑の活躍で、記録的な速さで国内外のレコードが塗り替えられている。
ここからは次回、プレダッツォ(イタリアのヴァル・ディ・フィエンメ地方)で開催されるワールドカップに関する注目データをまとめた。


小林陵侑
この間の日曜(2019年1月6日)小林陵侑はビショフスホーフェンのジャンプ週間最終戦で優勝して、最初のタイトルを手にした。スヴェン・ハンナヴァルト(2001/02)とカミル・シュトッホ(2017/18)に続いて、小林陵侑はジャンプ週間全4戦で優勝して完全制覇を果たした3人目のジャンパーとなった。

ハンナヴァルトはジャンプ週間グランドスラム達成後、最初のW杯個人戦(ドイツ・ヴィリンゲン戦)で優勝したが、シュトッホは昨シーズンのジャンプ週間直後の試合(バード・ミッテルンドルフでのスキーフライング戦)では21位に終わった。

小林はここ最近のW杯個人戦で5連勝している。小林が連勝をもう1勝伸ばしたら、これまでの記録である個人戦6連勝に並ぶことになる。ヤンネ・アホネン(フィンランド、2004-2005)、マッチ・ハウタマキ(フィンランド、2005)、トーマス・モルゲンシュテルン(オーストリア、2007)、グレゴア・シュリレンツァウアー(オーストリア、2009)の4人が、これまでにその記録を達成している。

これまでにW杯7連勝を飾った男性スキージャンパーはまだ皆無だ。

小林陵侑は今シーズン、既に行なわれたW杯11試合のうち合計8勝を挙げている。昨シーズンのW杯個人戦最多勝数はシュトッホの9勝だった。それより多くのW杯個人戦優勝を挙げた最近の選手は2015/16シーズンに15勝を収めたペーター・プレウツ(スロベニア)だ。

小林陵侑は、日本で初めて1シーズンにW杯個人戦6勝以上を達成したジャンパーだ。現在8勝の小林陵侑より多く通算W杯個人戦優勝数を挙げた日本人は、葛西紀明(17勝)、船木和喜(15勝)、原田雅彦(9勝)の3人だけだ。
小林陵侑は、今シーズンのW杯個人戦11試合のうち10回表彰台に上がっている。例外は2018年12月15日のスイス・エンゲルベルク大会第1戦で7位になった時だけだ。
昨シーズン、カミル・シュトッホはW杯で13回表彰台入りを果たした。

W杯の1シーズン中に10回以上表彰台に上がった日本人は、船木和喜(1998/99、15回)と葛西紀明(1998/99、14回)の二人だけだ。

小林陵侑(22歳)は、2008/09のシュリレンツァウアー以来、23歳以下でW杯1シーズン中に個人戦9勝以上を挙げる最初の選手となれるかもしれない。

現在、小林陵侑はW杯個人総合得点で956ポイントをマークしており、2位のピオトル・ジーラ(ポーランド、529点)に400点以上の差をつけている。
これまでのW杯個人総合で、日本人の歴代最高成績は、船木和喜の2位(1997/98シーズン)となっている。

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前進したいドイツ
小林陵侑に続いて、今季のジャンプ週間総合で表彰台に上がったのは、ドイツのマルクス・アイゼンビッヒラー(2位)とシュテファン・ライエ(3位)の二人だった。ジャンプ週間総合の表彰台に二人のドイツ人選手が立ったのは1990/91シーズンにイェンス・ヴァイスフログとディター・トーマが果たして以来の快挙だった。

マルクス・アイゼンビッヒラーは、これまでにW杯個人戦で6回表彰台に上がっているが、まだ優勝はしたことがない。

シュテファン・ライエが表彰台に上がったのは、2018年11月18日のヴィスワ戦で2位になった時、1回だけだ。ライエはインスブルック戦とビショフスホーフェン戦で、それぞれ4位に入った。

2018年初頭からのW杯個人戦25試合で、ドイツ人ジャンパーが優勝したのは1回だけだ。カール・ガイガーが2018年12月15日のエンゲルベルク第1戦で優勝した。

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勝利に近づくシュテファン・クラフト
ジャンプ週間の全4試合のうち、3試合でシュテファン・クラフトは表彰台に上がった。オーバーストドルフで3位、インスブルックで2位、そしてビショフスホーフェンで3位だった。

2017年3月26日のプラニツァ・スキーフライング戦でクラフトが優勝を収めて以来、オーストリアからは、最近のW杯33試合で優勝者を出していない。

オーストリアがこれより長くW杯個人戦で優勝できなかったスランプは、2000年2月から2002年1月の間の45試合連続で勝利を挙げられなかった時だった。このスランプは、2002年1月24日の白馬大会でアンドレアス・ヴィドホルツルが優勝して克服した。

2017/18シーズン開幕以来、クラフトはW杯個人戦で11回表彰台に上がっているが、優勝はおあずけとなっている。

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カミル・シュトッホとダヴィド・クバツキー
カミル・シュトッホは昨シーズン中に、ジャンプ週間総合優勝、「RAW AIRノルウェーツアー」優勝、W杯個人総合優勝、そしてオリンピック・ラージヒル戦金メダルを獲得したが、今シーズンはまだ個人戦優勝を挙げていない。

シュトッホはW杯通算31勝で、歴代W杯個人戦勝数ランキング5位のイェンス・ヴァイスフログ(33勝)に2勝足りない。

ヴァル・ディ・フィエンメで前回W杯個人戦が開催されたのは2012月2月5日で優勝したのはシュトッホだった。
シュトッホは、まだ現役のジャンパーのうちW杯ヴァル・ディ・フィエンメ大会で優勝した3人のうちの一人だ。他の二人は、グレゴア・シュリレンツァウアー(2012年2月4日)と葛西紀明(1993年1月23日)だ。

今シーズンのW杯個人戦で3回以上表彰台に上がっているのはポーランドのピオトル・ジーラ(5回)と小林陵侑(10回)の二人だけとなっている。

ジーラがW杯で勝ったのは、2013年3月17日のノルウェー・オスロ大会の1回だけだ。

ダヴィド・クバツキーは、ポーランド勢で唯一スキージャンプ週間の試合で表彰台に上がれた選手だった(ガルミッシュ=パルテンキルヒェン戦で3位、ビショフスホーフェン戦で2位)。
クバツキーはこれまでにW杯で5回表彰台入りを果たしてはいるが、優勝はまだしていない。

 

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