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世界選手権男子 クラフトが2個目の金

作成: 02.03.2017 20:17 / sk

フィンランドのラハティで開催中のノルディックスキー世界選手権で、既にノーマルヒルの王者となっているシュテファン・クラフト(オーストリア)が、3月2日(木)のラージヒル戦でも、127.5mのジャンプを2本揃えて合計279.3ポイントをマークし、金メダルを獲得した。アンドレアス・ヴェリンガー(独)は127.5mと129mで、わずか1.3点差で再び2位になった。ピオトル・ジーラが276.7ポイント(127.5m/131m)で3位になり、ポーランド勢初のメダル獲得を果たした。アンダース・スティエルネンは、0.6点の僅差で4位になり、ノルウェー勢のトップだった。

両ラウンドとも、かなりの激戦となった。1回目が終わった時点で、上位7名の選手が5点差以内に入っており、メートルに換算すると3m以下の違いだった。
シュテファン・クラフトは2位のアンドレアス・ヴェリンガーに0.9点差もしくは半メートルの差、アンダース・スティエルネンはわずか2.6点差で3位、カミル・シュトッホ(ポーランド)は首位に2.9点差で4位につけていた(2回目で7位に転落)。ピオトル・ジーラは前半戦、首位に4.8点差で6位だった。

 

オーストリア史上初のダブル世界チャンピオン

シュテファン・クラフトはスキージャンプの歴史を塗り替えた。これまでにオーストリアのジャンパーが世界選手権のノーマルヒルとラージヒルの両方で世界チャンピョンになったことは皆無だった。
ダブル世界チャンピオンになったのは、今回のクラフトで歴代5人目となった。最近でこの偉業を成したのは、2003年(伊、ヴァル・ディ・フィエンメ大会)のアダム・マリシュだった。現在マリシュはポーランドスキー連盟でスポーツディレクターとしてジャンプとノルディック複合の仕事にたずさわっている。

 

「今日僕が歴史を作ったというのはあまり問題ではなくて、多分これは引退してから意味を持ってくるんだと思う」とシュテファン・クラフトは話す。ザルツブルク州出身のクラフト(23歳)がそれよりもっと喜んだのは2個目の金メダルを獲得したことだったようだ。

「信じられない!どうやって僕がこれを成し遂げられたのか分からない。今日はとにかく何もかもが上手く噛み合った。2回目のジャンプは恐ろしいほど上手くいった。でも、もう着地の時点でかなりの接戦になることが分かっていた。ノーマルヒル戦の時よりもかなりリラックスしていられた。あの時も僕の前はアンドレアス・ヴェリンガーが飛んだからね」」と、混合団体戦で銀も獲り、今回のラハティ大会で既に3個目のメダル獲得となったクラフトは話した。

 

オーストリアチームのコーチ、ハインツ・クッティンもクラフトの飛翔に感動したようで、「今日ヤツがまたもの凄いのを決めてくれて、信じられないぐらい。彼がこの舞台で鮮やかに示してくれたことに最大限の敬意を表したい。彼はとにかくいつも答えを用意している」と語った。


団体戦では仲間と金を取ったアンドレアス・ヴェリンガーは、ノーマルヒル戦と同じく今回も「ただの」2位になってしまったが、2個目の銀メダルにも大喜びの様だ。「信じられない。とにかく凄いこと!ここラハティで銀メダルを2個も穫れるなんて思ってもいなかった」と21歳のヴェリンガーはインタビューに答えた。ファイナルラウンドでヴェリンガーは、クラフトより飛距離では2.7ポイント勝っていた。しかしクラフトは飛型点で57.5ポイント、対するヴェリンガーは55.0ポイントだった。「シュテファン(クラフト)が2点も多く取れたのは、どうしてか分からない。着地のチェックをしなくてはだと思う」とは言うものの、不満に思っている訳ではなく、「相当ハイレベルな試合で、今回も僕はトップに肉迫することができた。こういう接戦は本当に面白い」と、この激戦のポジティブな面を特に見ていたようだ。

 


ポーランド、今回はメダル獲得

カミル・シュトッホは、現在ワールドカップ(W杯)総合首位で今季ジャンプ週間の覇者でもあるが、世界選手権ノーマルヒル戦では1.1点の僅差で銅メダルを逃し4位になり、ポーランドチームはメダル獲得が叶わなかった。今回、ラージヒル戦ではポーランドチームに運気が向いたが、シュトッホにはまた向いてくれなかった。チームメイトのピオトル・ジーラが、2回目に今日最長の131mまで伸ばして順位を上げた。ノーマルヒル戦では19位だった30歳のジーラは、今回世界選手権で自己初のメダル獲得を果たした。ポーランドで大人気のジーラは、その成績に圧倒された様子で、「今日何が起こったのかまだ全然分かっていない。これを現実のことと理解するためにはかなりの時間がかかりそう」と試合後のインタビューに言葉を探していた。

 


チームとして好調のポーランドとノルウェー

オーストリア出身のシュテファン・ホルンガッハー率いるポーランドの4選手は、ジーラの活躍の他に特にチームとしての強さが際立った。銅メダルの後、マチェイ・コット、カミル・シュトッホ、ダヴィド・クバツキーが6〜8位に並んだ。これでポーランドチームは、世界選手権でジャンプ最後の種目、4日(土)のラージヒル団体戦で優勝有力候補と目されることになった。

 

ノルウェー勢も同じく団体戦への意欲を示した。ヘッドコーチ、アレックス・シュトックルが率いるノルウェーチームは、ノーマルヒル戦と同じく今回もメダルには届かなかったが、スティエルネンが4位、アンダース・ファンネメルが5位、ダニエル=アンドレ・タンデが10位に入り、ポーランドに迫る強さを見せた。

 


復調のアマン

シモン・アマン(スイス)は、W杯札幌大会で11位と14位という今シーズンの自己最高成績を出した。冬季五輪で2回もダブル金メダル受賞(2002年と2010年)を飾っているアマンは、今季世界選手権ノーマルヒル戦では21位に終わっていた。しかし今日の試合で35歳のアマンは122.5mのジャンプをテレマークを入れてうまく決めた。これで今シーズン最高の飛型点を取ることができた。1回目で3人の審判から17.5点をもらい14位につけた。2回目でアマンは125.5mまで伸ばしたが着地がうまく行かず14位のままにとどまった。2児の父となったアマンは、スイス勢4人のうち唯一、ベスト30に入りファイナルラウンド進出を果たした。

 

混合団体戦で銅メダルを獲った日本チームだが、今回はがっかりな結果だった。伊東大貴が一番良くて15位、ベテランの葛西紀明は世界選手権41試合目で32位に終わった。


スイスとアメリカと同様に、フィンランドからも4人全員が本戦出場を果たした。フィンランドチームの中で、ヴィレ・ラリント(26位)、ヤンネ・アホネン(27位)、ヤルコ・メエッテー(30位)の3人が2回目に進むことができた。よりによって、前日の予選で1位だったアンティ・アールトが31位で、惜しくもファイナル進出を逃した。

 

全リザルト

 

※注)大会日程は現地時間です。

 

統計

最長不倒
131.0m
Zyla, Piotr (POL)
最短ジャンプ
101.5m
Bresadola, Davide (ITA)
平均飛距離
115.7m
K点越えジャンプ
62.5%
ネーション数
15
トップ10のネーション数
5
トップ30のベストネーション
4
Österreich
Deutschland
Polen
Norwegen
Kraft, Stefan
15.02.17
PyeongChang
Österreich
15.02.17
Kraft, Stefan (AUT) PyeongChang